☆「知らない」ものは「見えない」☆/奈良・東大阪・京都・三重・和歌山
2016年10月 3日 09:49みなさんこんにちは、ピュアメディカルクリニックの木幡(こわた)です。
長年、こういう仕事をしているとつくづく、「若い時って本当に何も知らずに色んな手術をやっていたんだなぁ」と思います。
知らなかったからこそ、思い切って出来た部分もあるのでそれはそれで良しとしなければならないのですが
例えば。
これは昔、男性の包茎手術をよくやっていた時のこと。
そのクリニックは私と院長先生の二人で切り盛りをしていたのですが、基本的に2人が同日に働くことは月に1~2日しかなく、後の日は基本的にそれぞれが一人診療です。
必然的に私がやった手術後の経過を院長先生に見ていただく機会が出てくるわけですが、たまに診療でご一緒する機会があると院長先生がふと「コワタ君、この間の〇〇さんの手術、あれはダメだよ」とか言ってこられるのです。
後日、改めてその指摘のあった患者様のご状態を見ても、何が「ダメ」だったのか自分にはさっぱりわかりません。
院長先生は厳しい方だったので聞いてもすぐに教えてくれません。
でもどうやら縫ったキズとその周辺がダメなようです。
何故ダメなのか、その日から考えることになりました。
包茎手術は単純な手術です。
どれだけ余分な皮を取るか推定してマーキングし、その部分を切開して余剰皮膚を剥がし取ります。
出血をバイポーラー鑷子(下の写真)で止めたら縫い合わせていく。
ただこれだけです。
キズの見た目が「ダメ」な理由はこの過程のどこかで間違いを犯しているからだと私は考えました。
まず、切開はあまり関係ないだろうと思いました。
確かに、切る位置によっては出血しやすい箇所もあるのでそこを避けて、かつ目立ちにくい場所にすればよいだけの話です。
関係があるとすれば、以下の3つしかありません。
それは、
①皮膚の剥がし取り方
②出血の止め方
③縫う際の糸の掛幅
です。
③は最も簡単に改善が図れます。
掛幅が大きいとキズと直角に魚の骨のような跡が残ってしまうので、キズが開いてしまわない程度に小さく、細い糸で縫えば済みます。
問題は①と②です。
①の「皮膚の剥がし取り方」ですが、薄すぎてもダメ、厚すぎてもダメなのです。
薄すぎると厚みが残り過ぎて仕上がったときにに合わせたところ周辺に厚みが残ってしまい、厚く取り過ぎると出血が増えてこれもキズ跡に影響します。
そしてちょうど良い層のところで剥がし取ると、ほとんど出血しないのです!
①が実は②に影響するのですよ
ちょうど良い厚みで取れるように何度も何度もトライしてはうまく行ったり行かなかったりの繰り返しで、手術件数が100件超えたあたりからようやく狙って出来るようになりました。
院長先生に指摘を受けるまで、私自身ではこういうことが目につきませんでした。
院長先生には見えていた景色が私にはまるで見えていなかったのです。
そう考えると手術って奥深いものです。
ちゃんとした深さでコントロール出来ている限り、ほとんど出血しない場所があったりするのです。
こういうポイントをちゃんとおさえてやるかやらないかで術後の経過が微妙に違ったりするのですから。
大学病院で研修医として勤めているとき、助教授の先生が執刀する手術がまさにコレでした。研修医なので素人に毛が生えたくらいのものでしたが、そんな私が見ても他の先生との違いがわかるくらい、手術が美しかったです。
分野は違えど、美容外科でも同じなんだなぁと、ずいぶん後になってこうしてブログで書いていることが不思議な感じです
奈良以外でも、大阪・京都・三重・和歌山からも便利に来院いただけます。