☆ワキ多汗症・ワキガ手術:抑えるべきポイント☆/奈良・東大阪・京都・三重・和歌山
2016年6月25日 13:14みなさんこんにちは、ピュアメディカルクリニックの木幡(こわた)です。
今日はワキの多汗症およびワキガに対する、抑えておくべき手術のポイントについてご紹介いたします。
最近ではラジオ波を使った非観血的治療(要するに手術じゃないってこと)も登場してきて、手術の優位性が少なくなってきています。
でも手術にしても、非手術にしても、目指していることは一緒。
アプローチが違うというだけ。
その大元を理解すれば、その治療の何が良くて、何がいけないのか、見えてくると思います。
それでは始めましょう。
まず、何を相手にしているのか、から理解していきます。
下の図をご覧ください。
※Wikipediaより引用
はい、皮膚の立体断面図です。
色々ごちゃごちゃ描かれていますが、汗腺(sweat gland)と書かれている部分に注目してください。
一番底の方の蛇がトグロ巻いているように見えるところで汗は作られ、その上に走る細い管をつたって皮膚表面に汗が出ます。
この汗腺が手術・非手術関わらず標的になるものです。
そして汗腺には2種類あります。
エクリン汗腺とアポクリン汗腺。
違いは以下の通りとなります。
エクリン汗腺
①塩分・水分を主体とした汗を出す
②外耳道・性器・口唇以外の全身に分布する
③アポクリン汗腺の1/10のサイズで真皮深くにまでは伸びていない
④主に体温調節の発汗を担う
アポクリン汗腺
①ワキガ臭の原因となる汗を出す
②ワキ、乳輪、会陰部、耳の中、まぶたにのみ分布する
③真皮深く~皮下組織に分布する
④主にストレス・性的興奮により分泌される
細かな違いは色々ありますが、行う治療が手術である場合に重要となるのが
③の黄色いマーカーを引いた部分
です。
そう、アポクリン汗腺の方が皮膚の深い場所、もしくは皮膚の下に存在するのに対して、エクリン汗腺の方がもっと浅いところに存在する、ということなのです。
手術の中で最も一般的に行う剪除法(センジョホウ。ハサミで汗腺を取り除く方法。
他に反転法や切開法などのネーミングがあります)という方法では、取り除く範囲は下の斜線部分となっています。
この範囲に主に含まれるのは主にアポクリン汗腺で、さきほど見たようにエクリン汗腺はもっと浅いところに分布しているため、剪除法という方法ではアポクリン汗腺は取れても、エクリン汗腺は残ってしまうことになります。
従って、ニオイは軽減されても汗の量はさほど減らないハズ、ということになります。そして現にこの手術をやるとその通りの結果となります。
以前にスタッフにこの手術をやったことがありますが、「ニオイは1/10くらいにまでは減ったけど、汗はいいところ1/2までかなぁ」と言っておりました。
まあでもこうした理屈に照らし合わせると当たり前の結果です。
すると、手術で汗の量まで減らす、つまりエクリン汗腺までをも取り除こうとすれば、真皮の中に埋もれているエクリン汗腺を何とかする必要が出てきます。
真皮というところは非常に硬く、ハサミで削ぎ落とそうにもまあまあ苦労するようなところです。
そこで真皮を簡単に削ぎ落とすのに、下の器具を使用します。
稲葉式皮下削除器です。
※稲葉クリニック東京ワキガ研究所より引用
この器具を使用すると、真皮を皮膚裏から「剃り落とす」ことが可能となり、真皮内のエクリン汗腺をも取り除くことが出来るようになります。
すると確かに、汗の量も大幅に減ります。
しかし、この方法にはデメリットも伴います。
そう、キズです。
真皮にまで切り込んでいくため、先ほどの剪除法に比べると皮膚へのダメージは大きくなります。
結果として術後のワキ全体の赤味や色素沈着、肥厚性瘢痕(ヒコウセイハンコン)というミミズ腫れのような膨れた跡がつきものとなります。
もちろん、時間の経過とともに良くなっていきますのである程度年単位で気長に待てる、という方はこの手術方法を検討されて良いと思います。
※ただし、最近ではこの削除器を使った手術を行う施設は激減しています。なかなか探し当てるのも難しいかも知れません。
最後に非手術の多汗症・ワキガ治療法について触れておきます。
国内で行われている非手術の治療には ミラドライ(miraDry®) と ビューホット(viewHOT) があります。
ミラドライ(miraDry®) ・・・吸引+マイクロ波照射
ビューホット(viewHOT)・・・針による穿刺+ラジオ波
どちらも熱によって汗腺を破壊するという方法です。
この二つの治療について覚えておく必要があるのは、汗腺は部分的に破壊を免れて残ると、そこを起点に再生してくると言われている点です。
ミラドライについては、以前勤務していたクリニックで使用しておりましたが、治療から3~6か月経過すると汗の出方が少し復活してくると、治療を自ら体験したスタッフが言っておりました。
これは中途半端に壊された汗腺が、時間の経過とともに治癒してくるにつれて再生・回復してくるから、という風にも理解できます。
こういう場合、2回目の治療が必要となります。
ただいずれの方法にしてもダウンタイムは大幅に短縮される上にキズのリスクは少ないので国内でのシェアは着実に伸びて行っています。
当院では基本的に先にご紹介した剪除法をご案内しております。
もちろん、より簡単に済ませられるワキへのボトックス注射もやっておりますので気になられる方は是非ご相談ください☆
奈良以外でも、大阪・京都・三重・和歌山からも便利に来院いただけます。